学資保険がわりに投資信託?買ってはいけない3つの理由◇
この記事は、妊娠出産をただただ記録するblogの「「学資保険がわりに投資信託」をおすすめしない4つの理由」に移転しました。
「学資保険がわりに毎月定額の投資信託を積み立てていくほうがよい」と耳にしたことはありませんか?
これって本当なんでしょうか。「学資保険には入らなくていい!?」に続き、考えてみました。
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私が学資保険の無料相談に行ったとき、
「私は投資信託で学資を貯めましたよ」
とおっしゃるFPさんに出会ったことがあります。
新聞で、有名FPさんがお子さんの大学資金を投信で準備したと読んだこともあります。
こちらです。
これを読むと、学資保険(こども保険)など入らず、投資信託で教育費を準備するのが正解だというように見えてきます。

学資準備に投資信託を勧める人は、「学資保険より投資信託のほうが利回りが高い」とおっしゃいます。
これって本当なのでしょうか?
保険も投信も、何十社もの会社の株式や債券を組み合わせて運用益を上げるという仕組みは同じです。
ただ、保険は人が亡くなったら保険金を払わなければならないので、その分の費用を見込んで割高に設定してあります。
だから、私たちが同じ金額を積み立てていくなら、投信に回したほうが利回りは高くなるという理屈です。
また、学資保険は、加入時に十数年後の返戻率が確定してしまうのが弱い点。
インフレや好景気になった場合には実質的には目減りする可能性もあります。
投資信託であれば、インフレや景気と連動して値上がりしていくものを選べます。
そのため、インフレを心配しなくてよいというメリットがあるのです。
このように「学資は保険よりも投信で積み立てるほうが合理的」と見えてしまいますね。
でも、私はこれはやってはダメだと思っています。
その理由は三つ。
以下で詳しく説明していきます。
教育費を投資信託で積み立ててはいけない理由の一つめは、不況が心配だということです。
投資信託の金額は、景気の波に大きく影響されます。
景気が悪ければ、コツコツ積み立てていった200万円が、100万円ぐらいまで目減りする可能性もあります。
2008年のリーマンショック時には、多くの投資信託は50%以上値下がりしました。
(たとえば、値動きが比較的穏やかな投信「ニッセイ日経225インデックスファンド」でさえ、リーマンショック時には約60%値下がりしたのです。)

※2007年7月9日17,253円⇒2008年10月27日6,898円の下落率60.0% チャートはMorningStarより
毎月積み立てて購入していけば購入時の価格は分散していますので、実際の値下がりは60%よりは小さくなります。
(詳しくは「ドルコスト平均法」で検索してください。)
また、2年~5年待つことができれば、投資信託の価額は戻ってきます。
ただ、子供の大学進学の年は自分では選べませんよね。
そして、不景気は大きなものから小さなものまで様々ですが、数年ごとに必ずやってきます。
子供の大学進学の年がリーマンショック並みの景気の谷だったら、困りませんか?
(これは、ドルコスト平均法の最大の弱点といわれているところだと思います。)
そう考えると、「投資信託で学資を準備する」というのは、私にはあまりにも危険なように感じられるのです。
「学資準備に投信」がNGだと思う二つ目の理由は、ある程度の投資の知識が必要だということです。
投資信託には様々な種類があり、大きな値上がりが期待できるものには、当然大きな値下がりのリスクがあります。
おそらく、学資保険代わりに利用するのであれば、価格変動の大きい投信と小さい投信をバランス良く組み合わせて、ほどほどの値上がり益を狙っていくのが正解なのだと思います。
しかし、投信の銘柄は数千種類あるんです。
「バランス良く」といっても、具体的にどれを選べばいいんでしょう。
それを一から勉強するのは手間がかかりすぎではないでしょうか?
私は15年以上投資信託をやっていて、産後にFP資格も取りました。
でも「学資保険がわりにどの投資信託を買えばいいでしょうか?」と聞かれたら、銘柄名までは答えられません。
(運用コストの低い投資信託を各クラス組み合わせて、とは言うでしょうが・・・)
それなら「18年後に113%の利回り」と約束してくれる学資保険を選ぶほうが、よっぽど間違いないと感じ、学資保険に加入しました。
>>「私の選んだ学資保険」
株・投資信託の経験者ならともかく、投資経験のない人が「学資保険がわりに」といきなり投資信託の積立を始めるなんて怖すぎます。
価格がちょっと下がっただけでハラハラし、気が休まらないのではないでしょうか。
そして、投信選びやその後のメンテナンスが間違っていたとしても、見直しのタイミングが分からず、手遅れになる場合もあります。
学資保険より投資信託のほうが利回りが良いといっても、手間とリスクがこれだけ増えるなんて、割に合わないと私には感じられます。
「学資準備に投信」がNGだと思う三つ目の理由は、金額が最後まで確定しないということです。
18年かけて300万円積み立てるときのことを考えてみましょう。
学資保険は加入時に返戻率が確定します。
例えば「268万円を払い込めば、18年後に112%(300万円)受け取れる」と決まっています。

いっぽうで、投資信託は値上がり・値下がりします。
大学入学の年には400万円になっているかもしれないし、200万円になっているかもしれません。
投資信託は、解約するその瞬間まで値動きし続けます。
(厳密には、解約注文をした翌日、翌々日の価格で売却されるシステムですので、解約時点ですら金額が確定しません。)
そんなギリギリまで、貯めたお金の受取額が分からないなんて、資金計画がしづらくないでしょうか。
また、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)と学資資金準備の相性が悪いのもデメリットです。
実際に投資信託を購入するなら、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)が一番お得というのがFPの間では常識です。
iDeCoなら、その年に積み立てた金額が、所得から引かれ、大きな節税になるためです。(一般的なサラリーマン家庭で4万円~8万円程度。)
その上、儲かったお金も非課税となります。(通常は20%課税。)
このiDeCoの払込上限額は年間27万6000円(公務員は14万4000円)。
学資保険として使うにはちょうど良い金額のように思われますが、60才まで払い出せないところがネックになります。
つまり、iDeCoを学資保険として有効利用できそうなのは、お子さんの大学進学以前に60才を迎える高齢出産のご家庭だけ。
もちろん、iDeCo以外の証券口座で、学資目的で投資信託を購入することもできますが・・・
iDeCoを使っていない人が、普通の証券口座で投資信託を購入するというのは、とても馬鹿げたことのように思われます。
つみたてNISAという仕組みもありますが、やはりiDeCoのほうが圧倒的に有利です。
では、iDeCoを使った上で、つみたてNISAか普通の証券口座で毎月1万円の投資信託を買うのはどうでしょうか。
これなら行動としては合理的ですが、年間39万6000円(月間3万3000円)の投資信託を購入することになってしまいます。
この金額、投資初心者にはぎょっとするほどの金額ではないでしょうか。
毎月3万3000円の投資信託を購入しても、まだ貯金ができるほど余裕のある家計ならこれでも良いと思います。
でも「毎月3~4万円しか余裕はない。そのほぼ全額をiDeCoとつみたてNISAに回している」と聞いたら、私はかなり心配になります。
お子さんの進学資金は、学資保険として確保した上で、老後資金としてiDeCoやつみたてNISAを3000円でも5000円でも構わないので、無理ない金額で利用するのが良いのではないかと思うのです。
(この項目については、「投信選択に知識が必要」と一部重複する内容で、専門用語が出てきます。すでに投資信託について勉強されている方以外はスルーして次の項目にお進みください。)
「学資目的で投資信託を購入する」という場合、信託報酬の安い、いわゆる「インデックスファンド」を積み立てていいくことになると思います。
長い期間投資を続けると、株の高いときも、安いときもありますが、同じ投資信託を同じ額積み立てていくことで、最終的には大きな変動のない資産が形成できるという考え方です。
投資の業界では、「ドルコスト平均法」「インデックス投資」と呼ばれています。
しかしこのインデックス投資、まったく手をかけなくて良いわけではありません。
年1度のリバランスと、5~10年に1度のポートフォリオの見直しが必要です。
この作業、自信を持って行えますか?
また、この5年ほどの間にインデックス投資の知名度が上がり、投資信託の低コスト化が進んでいます。
今、「この投資信託が一番手数料が安い」と思って選んでも、数年後にはもっと低コストの投資信託が登場するかもしれません。
実際、私は2013年に現在のポートフォリオを決め、投資信託の銘柄も決めて、積み立てを始めました。
もちろん、その時点で一番信託報酬の安い投資信託を選びました。
しかし2017年に、eMAXIS slim(イーマクシススリム)という、圧倒的に低コストの投資信託が発売されたんです。
私は新聞や投資ブロガーさんのブログの情報でそれを知り、あわてて証券会社の管理画面にログインし、積み立てる投資信託を変更しました。
この情報収集と設定作業、こなせそうですか?
リバランスや情報収集を面倒だ、自信がないと感じるのであれば、学資保険はすごく良い解決手段です。
最初に金額さえ決めてしまえば、毎月自動的に積み立ててくれて、18年間何もすることはありません。
満期前には、郵便や電話で連絡までしてくれます。
そういう手間がかからない点も、私が学資保険が良いと思う理由です。
投資信託(インデックス投資)と進学資金準備の相性が悪いと思うもう一つの理由は、解約時のことです。
インデックス投資では、若い時はリスク高めのポートフォリオを組み、徐々に安定資産へシフトしていくことを推奨していると思います。
そして、長期間少額を積み立てていくのと同様に、取り崩すときも、たとえば老後の生活費として少しずつ引き出していくことを想定しているというのが私の理解です。
少なくとも、「毎月児童手当相当額(1万5000円)を積み立てて、18年後の3月に全額を引き出す」という使い方は想定外だと思います。
上でも書いたとおり、その時期がリーマンショック級の不景気かもしれないからです。
ある程度リスクの少ないポートフォリオにしたうえで、3分の1ぐらいを引き出すのであれば、まあ良いのではないかと思います。
でも、「進学資金はこの投資信託だけ! これを解約しなければお金が作れない!」というギリギリの状態の資産形成には、おそらく向いていません。
インデックス投資自体は、お金を増やす方法としてとても合理的だと思いますが、使い方には注意しなければなりません。
投資信託で学資金を貯めていいのは、投資経験者で、毎月5万円以上貯金に回すことができておあり、お子さんの進学時に投資信託の総額が1200万円を超えるぐらいは投資に回す予定がある、投信についての情報収集も苦にならない、そんなご家庭だけだと思います。
というわけで、私は「学資保険のかわりに投資信託」には反対です。
実は上の日経記事も、よく読むと「学資保険のかわりに投資信託が良い」と単純に言っているのではないんです。
投信で学資を貯めたというFPの深野さんは、記事の後半でこう書かれています。
投信が値下がりしてしまったら、上がるまで待てるだけの資金を用意されていたということですね。
この方はかなりの預金もあり、投信は学資金を大きく上回る額を保有されている様子です。
投資信託が有利だと思うなら、期限を決めない長期運用を前提に(=老後資金として)買っていくのは良いと思います。
(実際にわが家でも、iDeCo、つみたてNISA両方利用しています。)
でも、投資信託をしたことがない子育て世代に向かって、いきなり「投資信託で教育資金を貯めなさい」というのは、乱暴では?と感じます。
投資は効率のよいものを選ぶことは大切ですが、「一番効率のよい方法」を徹底して追求する必要はないのでは?というのが投資経験15年を超えた私の感想です。
教育費に関しては、「手間がかからず、ほどほどに得する方法」でよいのではと思うのです。
そして、その方法というのは、学資保険だと思います。
投資の知識経験がある人を除けば、教育費は学資保険で貯めるべき。これが私の結論です。
(定期預金や国債はどうか?については前の記事でまとめています。⇒「学資保険には入らなくていい!?」)
学資保険にかんしては、「どの保険を選ぶか」ももちろん大切ですが、「出産前に加入を済ませること」が何よりも重要!
出産後、赤ちゃんの世話で寝不足の中、保険を見比べるなんて、とても無理でした。
とにかく学資保険は、早く入ることにメリットがあります。
(詳しくは→「学資保険は一日も早く加入すべき理由」)
妊娠30週ぐらいまでには加入できるよう、安定期に入ったら保険相談に行かれるのがオススメです!
では、どの保険相談に行けばいいか?についてはこちらの記事をどうぞ。
→無料保険相談ランキング
全員にお米・お肉プレゼント!保険見直しラボの無料保険相談

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これって本当なんでしょうか。「学資保険には入らなくていい!?」に続き、考えてみました。
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学資保険がわりに投資信託ってどう?
私が学資保険の無料相談に行ったとき、
「私は投資信託で学資を貯めましたよ」
とおっしゃるFPさんに出会ったことがあります。
新聞で、有名FPさんがお子さんの大学資金を投信で準備したと読んだこともあります。
こちらです。
FPなどお金の専門家はどのように教育資金を準備しているのか。深野康彦氏は今春、子供が大学進学する。資金は毎月積み立ての投資信託で準備した。日本株と外国株の投信を毎月1万円ずつ、16年間コツコツ積み立てた。日本株投信はマイナスの時期もあったが、アベノミクス相場の恩恵もあって「最後は学資保険を大幅に上回る運用成果になった」(深野氏)。
日経新聞2014年3月24日「専門家が助言王道は…『投信などでコツコツと』」
これを読むと、学資保険(こども保険)など入らず、投資信託で教育費を準備するのが正解だというように見えてきます。

投信は学資保険より利回りが高い?その真相
学資準備に投資信託を勧める人は、「学資保険より投資信託のほうが利回りが高い」とおっしゃいます。
これって本当なのでしょうか?
保険も投信も、何十社もの会社の株式や債券を組み合わせて運用益を上げるという仕組みは同じです。
ただ、保険は人が亡くなったら保険金を払わなければならないので、その分の費用を見込んで割高に設定してあります。
だから、私たちが同じ金額を積み立てていくなら、投信に回したほうが利回りは高くなるという理屈です。
また、学資保険は、加入時に十数年後の返戻率が確定してしまうのが弱い点。
インフレや好景気になった場合には実質的には目減りする可能性もあります。
投資信託であれば、インフレや景気と連動して値上がりしていくものを選べます。
そのため、インフレを心配しなくてよいというメリットがあるのです。
「投信で大学資金準備」がNGな理由
このように「学資は保険よりも投信で積み立てるほうが合理的」と見えてしまいますね。
でも、私はこれはやってはダメだと思っています。
その理由は三つ。
以下で詳しく説明していきます。
理由その1:大学進学の年が空前の不景気かもしれない
教育費を投資信託で積み立ててはいけない理由の一つめは、不況が心配だということです。
投資信託の金額は、景気の波に大きく影響されます。
景気が悪ければ、コツコツ積み立てていった200万円が、100万円ぐらいまで目減りする可能性もあります。
2008年のリーマンショック時には、多くの投資信託は50%以上値下がりしました。
(たとえば、値動きが比較的穏やかな投信「ニッセイ日経225インデックスファンド」でさえ、リーマンショック時には約60%値下がりしたのです。)

※2007年7月9日17,253円⇒2008年10月27日6,898円の下落率60.0% チャートはMorningStarより
毎月積み立てて購入していけば購入時の価格は分散していますので、実際の値下がりは60%よりは小さくなります。
(詳しくは「ドルコスト平均法」で検索してください。)
また、2年~5年待つことができれば、投資信託の価額は戻ってきます。
ただ、子供の大学進学の年は自分では選べませんよね。
そして、不景気は大きなものから小さなものまで様々ですが、数年ごとに必ずやってきます。
子供の大学進学の年がリーマンショック並みの景気の谷だったら、困りませんか?
(これは、ドルコスト平均法の最大の弱点といわれているところだと思います。)
そう考えると、「投資信託で学資を準備する」というのは、私にはあまりにも危険なように感じられるのです。
理由その2:投信選択に知識が必要
「学資準備に投信」がNGだと思う二つ目の理由は、ある程度の投資の知識が必要だということです。
投資信託には様々な種類があり、大きな値上がりが期待できるものには、当然大きな値下がりのリスクがあります。
おそらく、学資保険代わりに利用するのであれば、価格変動の大きい投信と小さい投信をバランス良く組み合わせて、ほどほどの値上がり益を狙っていくのが正解なのだと思います。
しかし、投信の銘柄は数千種類あるんです。

「バランス良く」といっても、具体的にどれを選べばいいんでしょう。
それを一から勉強するのは手間がかかりすぎではないでしょうか?
私は15年以上投資信託をやっていて、産後にFP資格も取りました。
でも「学資保険がわりにどの投資信託を買えばいいでしょうか?」と聞かれたら、銘柄名までは答えられません。
(運用コストの低い投資信託を各クラス組み合わせて、とは言うでしょうが・・・)
それなら「18年後に113%の利回り」と約束してくれる学資保険を選ぶほうが、よっぽど間違いないと感じ、学資保険に加入しました。
>>「私の選んだ学資保険」
株・投資信託の経験者ならともかく、投資経験のない人が「学資保険がわりに」といきなり投資信託の積立を始めるなんて怖すぎます。
価格がちょっと下がっただけでハラハラし、気が休まらないのではないでしょうか。
そして、投信選びやその後のメンテナンスが間違っていたとしても、見直しのタイミングが分からず、手遅れになる場合もあります。
学資保険より投資信託のほうが利回りが良いといっても、手間とリスクがこれだけ増えるなんて、割に合わないと私には感じられます。
理由その3:金額が確定しない
「学資準備に投信」がNGだと思う三つ目の理由は、金額が最後まで確定しないということです。
18年かけて300万円積み立てるときのことを考えてみましょう。
学資保険は加入時に返戻率が確定します。
例えば「268万円を払い込めば、18年後に112%(300万円)受け取れる」と決まっています。

いっぽうで、投資信託は値上がり・値下がりします。
大学入学の年には400万円になっているかもしれないし、200万円になっているかもしれません。
投資信託は、解約するその瞬間まで値動きし続けます。
(厳密には、解約注文をした翌日、翌々日の価格で売却されるシステムですので、解約時点ですら金額が確定しません。)
そんなギリギリまで、貯めたお金の受取額が分からないなんて、資金計画がしづらくないでしょうか。
iDeCoが使えない
また、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)と学資資金準備の相性が悪いのもデメリットです。
実際に投資信託を購入するなら、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)が一番お得というのがFPの間では常識です。
iDeCoなら、その年に積み立てた金額が、所得から引かれ、大きな節税になるためです。(一般的なサラリーマン家庭で4万円~8万円程度。)
その上、儲かったお金も非課税となります。(通常は20%課税。)
このiDeCoの払込上限額は年間27万6000円(公務員は14万4000円)。
学資保険として使うにはちょうど良い金額のように思われますが、60才まで払い出せないところがネックになります。
つまり、iDeCoを学資保険として有効利用できそうなのは、お子さんの大学進学以前に60才を迎える高齢出産のご家庭だけ。
もちろん、iDeCo以外の証券口座で、学資目的で投資信託を購入することもできますが・・・
iDeCoを使っていない人が、普通の証券口座で投資信託を購入するというのは、とても馬鹿げたことのように思われます。
つみたてNISAという仕組みもありますが、やはりiDeCoのほうが圧倒的に有利です。
では、iDeCoを使った上で、つみたてNISAか普通の証券口座で毎月1万円の投資信託を買うのはどうでしょうか。
これなら行動としては合理的ですが、年間39万6000円(月間3万3000円)の投資信託を購入することになってしまいます。
この金額、投資初心者にはぎょっとするほどの金額ではないでしょうか。
毎月3万3000円の投資信託を購入しても、まだ貯金ができるほど余裕のある家計ならこれでも良いと思います。
でも「毎月3~4万円しか余裕はない。そのほぼ全額をiDeCoとつみたてNISAに回している」と聞いたら、私はかなり心配になります。
お子さんの進学資金は、学資保険として確保した上で、老後資金としてiDeCoやつみたてNISAを3000円でも5000円でも構わないので、無理ない金額で利用するのが良いのではないかと思うのです。
投資信託はメンテナンスが必要
(この項目については、「投信選択に知識が必要」と一部重複する内容で、専門用語が出てきます。すでに投資信託について勉強されている方以外はスルーして次の項目にお進みください。)
「学資目的で投資信託を購入する」という場合、信託報酬の安い、いわゆる「インデックスファンド」を積み立てていいくことになると思います。
長い期間投資を続けると、株の高いときも、安いときもありますが、同じ投資信託を同じ額積み立てていくことで、最終的には大きな変動のない資産が形成できるという考え方です。
投資の業界では、「ドルコスト平均法」「インデックス投資」と呼ばれています。
しかしこのインデックス投資、まったく手をかけなくて良いわけではありません。
年1度のリバランスと、5~10年に1度のポートフォリオの見直しが必要です。
この作業、自信を持って行えますか?
また、この5年ほどの間にインデックス投資の知名度が上がり、投資信託の低コスト化が進んでいます。
今、「この投資信託が一番手数料が安い」と思って選んでも、数年後にはもっと低コストの投資信託が登場するかもしれません。
実際、私は2013年に現在のポートフォリオを決め、投資信託の銘柄も決めて、積み立てを始めました。
もちろん、その時点で一番信託報酬の安い投資信託を選びました。
しかし2017年に、eMAXIS slim(イーマクシススリム)という、圧倒的に低コストの投資信託が発売されたんです。
私は新聞や投資ブロガーさんのブログの情報でそれを知り、あわてて証券会社の管理画面にログインし、積み立てる投資信託を変更しました。
この情報収集と設定作業、こなせそうですか?
リバランスや情報収集を面倒だ、自信がないと感じるのであれば、学資保険はすごく良い解決手段です。
最初に金額さえ決めてしまえば、毎月自動的に積み立ててくれて、18年間何もすることはありません。
満期前には、郵便や電話で連絡までしてくれます。
そういう手間がかからない点も、私が学資保険が良いと思う理由です。
全額を一気に解約するのは疑問
投資信託(インデックス投資)と進学資金準備の相性が悪いと思うもう一つの理由は、解約時のことです。
インデックス投資では、若い時はリスク高めのポートフォリオを組み、徐々に安定資産へシフトしていくことを推奨していると思います。
そして、長期間少額を積み立てていくのと同様に、取り崩すときも、たとえば老後の生活費として少しずつ引き出していくことを想定しているというのが私の理解です。
少なくとも、「毎月児童手当相当額(1万5000円)を積み立てて、18年後の3月に全額を引き出す」という使い方は想定外だと思います。
上でも書いたとおり、その時期がリーマンショック級の不景気かもしれないからです。
ある程度リスクの少ないポートフォリオにしたうえで、3分の1ぐらいを引き出すのであれば、まあ良いのではないかと思います。
でも、「進学資金はこの投資信託だけ! これを解約しなければお金が作れない!」というギリギリの状態の資産形成には、おそらく向いていません。
インデックス投資自体は、お金を増やす方法としてとても合理的だと思いますが、使い方には注意しなければなりません。
投資信託で学資金を貯めていいのは、投資経験者で、毎月5万円以上貯金に回すことができておあり、お子さんの進学時に投資信託の総額が1200万円を超えるぐらいは投資に回す予定がある、投信についての情報収集も苦にならない、そんなご家庭だけだと思います。
長期資産運用の一環ならいいけれど・・・
というわけで、私は「学資保険のかわりに投資信託」には反対です。
実は上の日経記事も、よく読むと「学資保険のかわりに投資信託が良い」と単純に言っているのではないんです。
投信で学資を貯めたというFPの深野さんは、記事の後半でこう書かれています。
自分の老後資金として、定期預金の積み立てをしている。株式投信の運用がマイナスの時期に大学進学となった場合には、取りあえず定期預金の積み立て分を充当し、株式投信の運用は相場が好転するまで継続する方針だった。
日経新聞2014年3月24日「専門家が助言王道は…『投信などでコツコツと』」
投信が値下がりしてしまったら、上がるまで待てるだけの資金を用意されていたということですね。
この方はかなりの預金もあり、投信は学資金を大きく上回る額を保有されている様子です。
投資信託が有利だと思うなら、期限を決めない長期運用を前提に(=老後資金として)買っていくのは良いと思います。
(実際にわが家でも、iDeCo、つみたてNISA両方利用しています。)
でも、投資信託をしたことがない子育て世代に向かって、いきなり「投資信託で教育資金を貯めなさい」というのは、乱暴では?と感じます。
投資は効率のよいものを選ぶことは大切ですが、「一番効率のよい方法」を徹底して追求する必要はないのでは?というのが投資経験15年を超えた私の感想です。
教育費に関しては、「手間がかからず、ほどほどに得する方法」でよいのではと思うのです。
そして、その方法というのは、学資保険だと思います。
投資の知識経験がある人を除けば、教育費は学資保険で貯めるべき。これが私の結論です。
(定期預金や国債はどうか?については前の記事でまとめています。⇒「学資保険には入らなくていい!?」)
学資保険は早めの相談・加入が大切!
学資保険にかんしては、「どの保険を選ぶか」ももちろん大切ですが、「出産前に加入を済ませること」が何よりも重要!
出産後、赤ちゃんの世話で寝不足の中、保険を見比べるなんて、とても無理でした。
とにかく学資保険は、早く入ることにメリットがあります。
(詳しくは→「学資保険は一日も早く加入すべき理由」)
妊娠30週ぐらいまでには加入できるよう、安定期に入ったら保険相談に行かれるのがオススメです!
では、どの保険相談に行けばいいか?についてはこちらの記事をどうぞ。
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